【心淋し川】直木賞の名著、いつまでも読んでいたい

最近に購入した本で私にとっての名著は西條奈加さんの「心淋し川」(うらさびしがわ)です。

時代小説でもなく、いつの時代でも万人の胸を揺さぶる作品だと感じます。

直木賞受賞作「心寂し川」(西條奈加著)

2020年に刊行された第164回 直木賞受賞作品です。

手にとって、最初の5行で惚れました。こんなに素晴らしい作品をありがとうございますとお礼を言いたいです。

キャッチフレーズは「芥箱みてえな町ですがね生き直すには、悪くねえとちでさ」です。

あらすじの入りは「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」です。グッと心を惹かれます。

あらすじ「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。

引用: 集英社「心淋し川」あらすじ

「心淋し川」の舞台

舞台は千駄木、時代は江戸です。淀んだ川沿いの建てられた長屋で今日を一生懸命に暮らす人々たちの物語です。

不思議と読んでいると情景や臭いが目に浮かんできます。

決して裕福でも幸せでもない生活の中に喜びを生み出し、凛として強く生きる人々に少なからずの活力を得られます。

引用: 江戸東京博物館(https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/p-exhibition/)「 江戸と結ぶ村と島」

時代小説であって現代小説

江戸時代が舞台なのですが、現代小説とも受け取れます。

とても人間関係が現実的で自分も物語の一員になったような感覚に陥ります。

生き方がテーマだからでしょうか。現代に生きる術のヒントが多く隠されています。

「心淋し川」の目次

色々と感想を記したいのですが、ネタバレになっては申し訳ないので目次と少々の内容だけ紹介します。

どれも心に残る短編小説です。

  • 心淋し川(うらさびしがわ)~19歳のちほが主人公の初々しくも切ない話
  • 閨仏(ねやぼとけ)~びっくりするような話だけれど感性が研ぎ澄まされます
  • はじめましょ~唄を歌う女の子の話
  • 冬虫夏草~親と子の心温まる話
  • 明けぬ里~遊郭の若い女の子の話
  • 灰の男~すべてを清算する話

「灰の男」

最後の話である「灰の男」に全てが集約されいています。

「あっ!」と思わせる展開はさすがです。実は短編小説集ではないのです。

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冒頭から滲み出る文学の素晴らしさに惚れ込むことは間違いないでしょう。

冒頭(試し読み)

私は冒頭で心を奪われました。こんな出出しは類を見ません。

 その川は止まったまま、流れることがない。
たぶん溜め込んだ塵芥ちりあくたが、重過ぎるためだ。十九のちほ、、には、そう思えた。
岸辺の杭に身を寄せる藁屑わらくずや落葉は、夏を迎えて腐りはじめている。梅雨には川底からうめくような臭いが立つ。
杭の一本に、赤い布の切れ端が張りついていて、それがいまの自分の姿に重なった。
ちほはここで生まれ、ここに育った。

 

「やっぱり人ってのは死に際になると、生国しようごくに帰りたいと願うものなのかねえ」
今年の初め、昭三しようぞうじいさんの葬式から帰った母のきん、、が、そんなことを口にした。
風邪がもとでひと月ほど寝込み、そのまま枕が上がることなく静かに逝ったが、
「ああ、帰りてえなあ……もういっぺんだけ、霞ヶ浦が見てえなあ」
それだけは床の中で、くり返しつぶやいていたという。

引用: 「 心淋し川」(西條奈加著)

著者(西條奈加)インタビュー

だからこそ他人の存在が必要なんですよね。たとえ家族がいたとしても、永遠に一緒にいられるわけじゃないし、そうなると友人なり、ご近所さんなり、趣味の仲間なり、誰かと繫がっていることが、すごく大事なんじゃないかと。そんなゆるい連帯があることが、生きていくうえでいちばんのセーフティーネットになるような気がしています。

引用: 集英社「心淋し川」西條奈加インタビュー https://www.bungei.shueisha.co.jp/interview/saijonaka/

著者(西條奈加)直木賞受賞会見

おめでとうございます。自分のことのように喜びました。良書をありがとうございます!

第164回「直木賞」に西條奈加氏「心淋し川」受賞に「不安の方が大きい」「第164回芥川龍之介賞・直木三十五賞」受賞会見

引用: 第164回「直木賞」に西條奈加氏「心淋し川」受賞に「不安の方が大きい」「第164回芥川龍之介賞・直木三十五賞」受賞会見 https://www.youtube.com/watch?v=1kXtLMZTBHw

「心寂し川」の感想

ドラマ化ならずも、映画化されたら全世界にヒットすると思わずにいられません。

日本のワビサビがひしひしと感じさせる、末恐ろしい小説とも読み取れます。

それでも感想はと申しますと、自ずと人生を見つめ直したくなるに尽きます。

一生、大切にしたい一冊です。

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