未完と完成の間~天才、ブライアン・ウィルソンのスマイル②

1967年は、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)にとって最悪の年になってしまいました。

「スマイル」という悪夢に精神を侵されてしまったのです。

天才がための闇に陥ってしまいます。長い長い自分との戦いが始まりました。

前回のおさらい

ブライアン・ウィルソンの未完の笑えない「スマイル」

もしかしたらブライアン・ウィルソンが完成させようとしていたアルバム「スマイル」は、ただの引金に過ぎなかったのかもしれません。

1966年のことでした。きっとブライアン・ウィルソンは完璧なる音楽の追及に没頭し、なにを目指しているのかが見えなくなってしまったのでしょう。

どんなに試行錯誤しても上手くいかずに辛かったっと想像します。

アルバム「ペット・サウンズ」完成を超えた完成は超えられませんでした。そうして、ただただ時間と精神の限界を超えてしまいました。

つまりは、ブライアン・ウィルソンは「スマイル」できずに崩壊したのです。

未完の傑作「スマイリー・スマイル」

1967年、ブライアン・ウィルソンはアルバム「スマイル」を完成させることなく闇に葬りました。

「スマイル」は未完成の「スマイリー・スマイル」として不本意ながらに発表さたのです。

The Beach Boys – SMILE Sessions iTunes LP Walkthrough

引用: Yotube Beach Boys Offical Channel

どこか物悲しく、怖ろしく、不安定な音楽ばかり…….。ジャケットすら奇妙でした。

ブライアン・ウィルソンや他のメンバーはどんな心境だったのでしょうか?

考えたくもありませんが、それでも「スマイリー・スマイル」は未完の名作です。聴けば完成させるはずだった「スマイル」の片鱗を感じ取ることはできます。

名曲「英雄と悪漢」(Heroes and Villains)

「スマイリー・スマイル」の中でも、ブライアン・ウィルソンが自信を持って完成された名曲はいくつかあります。

前回紹介した「グッド・ヴァイブレーション」が代表的です。

それから「英雄と悪漢」も眉唾ものの名曲でしょう!

The Beach Boys SMiLE Sessions – Heroes and Villains Music Video

引用: Yotube Beach Boys Offical Channel

やはり、「なんじゃこりゃ!?」ですね。曲調からは1967年当時のサイケデリックな雰囲気が漂います。

※以上のミュージックビデオは、2011年に「ビーチ・ボーイズ」の1967〜1970年のセッションを再編集した「The Smile Sessions」(スマイル・セッションズ)の一環で制作されました。

ひとつの音楽シーンの終わり

1960年代のロック&ポップスはシーンは目まぐるしく変わっていきます。

「僕らはまるで荒波を航海しているようだった」と「ビートルズ」も証言しています。

そうした中で、いつ間にかサイケディリック・イヤーは訪れ、ジミ・ヘンドリックスが「サーフミュージックは死んだ」と言い放ちました。

それは「ビーチ・ボーイズ」に向けられた言葉ではなく、サーフミュージックが過去の音楽となっていたことをあえて言ったまででした。

サーフミュージックなんて一時流行に過ぎないと、当事者であるブライアン・ウィルソンは、誰よりも早くに気づいていました。

The group at Zuma Beach, July 1967(public domain)

上の写真、真ん中が20代半ばのブライアン・ウィルソンです。悲しい笑顔に見えます。

この頃にはもう既に、事態は悪い方にばかり進んでいたからでしょう。

余談ですが、兄弟バンドって往々にして仲違いしています。もちろん例外もありますが、互いを知り尽くしてうんざりしてしまうからでしょうか?

もういいや……。「駄目な僕」

ブライアン・ウィルソンは打ちのめされました。

やたら周囲が天才だとか「ビートルズ」以上だとか騒ぎ過ぎたのが原因です。

「ビートルズ」にはレノン・マッカートニーという天才作曲家がいたために、数カ月単位で次々と名盤を発売できたのです。

それがブライアン・ウィルソンにとって、幸運だったのか不幸だったのかはわかりません。

「駄目な僕」は「ペット・サウンズ」の収録曲です。まるでブライアン・ウィルソンが、その先の自分がそうなるかと分かっていたかのような歌詞の曲です。新しいことをしようとしていても上手くいかず孤立し、最後には自分から身を引いてしまうといった曲です。悲しいですが美しい曲です。

ブライアン・ウィルソンvs「ビートルズ」


「ラバー・ソウル」を聴いたブライアン・ウィルソンは感動して「ビーチ・ボーイズ」で「ペット・サウンズ」を発表しました。

「ペット・サウンズ」に感銘を受けた「ビートルズ」は「リヴォルバー」を発表しました。

「『リヴォルバー』に負けるな!」と(父に強引に)言われたブライアン・ウィルソンは「スマイル」の制作に取り掛かりました。

ブライアン・ウィルソンが「スマイル」を完成させる時を待たずして「ビートルズ」は「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を発表しました……。


これ全部、ほぼ一年間でのことですよ? 「ビートルズ」が凄すぎます!

そりゃ、ブライアン・ウィルソンも「もういいや! 未完でもいいや!」ってなりますよね?

常にブライアン・ウィルソンは「『ビートルズ』に勝て!」と言われていたのです。特にマネージャーでもある実の父親が酷かったらしいです。

同情します。ブライアン・ウィルソンは決して「駄目な僕」ではありません。

もう十分にウィルソン兄弟の長男として、「ビーチ・ボーイズ」のリーダーとしての役目を十分に果たしたのだから、自由に音楽に生かせればいいのに…….と思わざるを得ません。

ブライアン・ウィルソンは引きこもる

すべてが煩わしくなったブライアン・ウィルソンは、自分の部屋に閉じこもって抗い続ける道を選びました。

ドキュメンタリーでラリッたブライアン・ウィルソンの映像を観たことがありますが、決して笑える姿ではありませんでした。

ブライアン・ウィルソンは天才です……。そう述べるしかないのが正直なところです。

次回に続きます。

こうして天才は表舞台から姿を消したんだよ。
なんか悲しいね……。それで音楽の世界に復帰はしたの?
それがね……長いことかかったんだよ。20年ぐらいかな?
えっ!?

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次回予告

ずっと引きこもっていたの!?
まあ、今思えばよかったのかもしれないよ。詳しくは次回で説明するよ。

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