未完と完成の間~天才、ブライアン・ウィルソンのスマイル③

「最近、いつ笑いましたか?」と訊かれても、う~ん……と頭を抱えてしまいます。

箸が転んでも、近所の家の犬が泣いても、箪笥の角に足の小指をぶつけても笑えた頃は遠い昔です。

大人になるとどうして心から笑えなくなるのでしょうか?

だから、いつまでも私はブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)の音楽を聴いているのだと言い切れます。素晴らしい音楽だからです。

前回のおさらい

天才、ブライアン・ウィルソンは壊れて消えた

「駄目な僕」の歌詞にも隠に歌われているとおり、自身はその時代のためにつくられたのではないと悲しい気持ちになってしまったブライアン・ウィルソンは、あっさりと表舞台から退きました。

その長さは並ではありません。

1960年代後半から1980年代後半までずっとです。

長い長いブライアン・ウィルソンの部屋のドアが開かれるまで、約20年もの歳月が必要とされたのは事実です。

そのことは関連する書籍や映像、周りの人たちの証言から知ることができます。

ここで記すのことも憚るぐらいの長い闇に、その精神を埋めていました。

とても悲しいことですが、みんなが復活を待ち望んでいました。

ブライアン・ウィルソンの音楽を忘れられないからです。

ブライアン・ウィルソンの空白の20年間

引きこもってどんな世界に生きていたのかは、本人以外はわからないでしょう。

いったいなにを考えて、なにをして、どう毎日を過ごしていたのかなど探ったところでなにも価値はないでしょう。

だから、ずっと私の中では、ブライアン・ウィルソンは過去の人でした。

無機質なアルバム「スマイリー・スマイル」が最後であり、終わったミュージシャンとして認識していました。

本当にそういう気持ちでブライアン・ウィルソンの音楽を聴き続けていました。

たまに復活という情報を目にしても、「そうなのか……」というぐらいでした。

正直な音楽だからこそ

それでもアルバム「ペット・サウンズ」「スマイリー・スマイル」は聴き続けていました。どんなに笑えなくてもです。

「これだけ聴いていれば大丈夫」と何度も私は救われました。おそらく、世界中の多くの人たちが同じ気持ちで聴き続けているでしょう。

理由はブライアン・ウィルソンの音楽は嘘がないからです。人間として自然にあるがままに聴こえるからです。

愛される人、ブライアン・ウィルソン

ブライアン・ウィルソンに関する音楽や映像作品は多々あります。

「こんなにあるの?」と目を窄めてしまうぐらいに溢れています。

純粋に多くの人たちに愛されているからでしょう。

上手くは表現できませんが、きっと愛すべき人なのでしょう。

ミュージシャンからも愛されています。

「尊敬するミュージシャンは?」と問われ、ブライアン・ウィルソンの名前を上げるミュージシャンも多いように思えます。

それから作家からも同様です。著名人にファンは多いのです。 たくさんいますよね。誰を思い浮かべましたか? 私は……ここで記すのは控えておきます。

自伝映画「ラブ&マーシー終わらないメロディー」

少し前の2015年、俳優がブライアン・ウィルソンを演じた自伝映画が公開されました。

「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」です。

まあまあ胸に刺さる映画です。

鑑賞しながら実際のブライアン・ウィルソンの壊れっぷりは、もっとひどかったんじゃないかなと悪い方へと想像を膨らませてしまいました。

「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」本予告

引用: Yotube KADOKAWA映画Channel

この映画を観ればブライアン・ウィルソンのおおまかな半生を知れると思います。

本人が出てるわけではないので、あまりお勧めはできませんが……本人公認とのことです。

気になった方は是非、ご鑑賞を。

劇中では若い頃の苦悩が見ものです。やはり「ビートルズ」の存在の大きさがクローズアップされていました。

いまではポール・マッカートニーとブライアン・ウィルソンは仲がいいのです。共演もありました。お互いに実力を尊敬しあっている間柄で誰もが羨む関係です。

1960年代の音楽業界がおかしかったのでしょう。いくら売れるからって、ミュージシャンを酷使し過ぎだと思えます。

本物の「スマイル」、笑顔を探して

大切なのは心の底から笑うことです。

確かな動機については不明ですが(なんとも言えませんが)、ブライアン・ウィルソンは1970年後半から徐々に音楽界に少しずつ顔を出すようになりました。

闇から抜け出すためには音楽しかないと気が付き、やっとの思いで自身の音楽を振り返ったのでしょう。

1978年にソロアルバムも発表しました。けれど、まだ笑えていなかったでしょう。

そのソロアルバム「ブライアン・ウィルソン」に代表曲の「ラブ&マーシー」が収録されています。

ソロアルバムの完成度は……あまり触れないでおきます。

しかし再び音楽に生き始め、壊れた音楽への情熱が垣間見れて微笑ましいです。

原点回帰のブライアン・ウィルソン

それからも断続的ではありますが、ソロや「ビーチボーイズ」での音楽活動により、ブライアン・ウィルソンの名が再び音楽界に轟き出しました。

2000年には「ペット・サウンズ」を前面に出したワールドツアー行い、相変わらず間の抜けた愛らしい声で完璧な曲をライブ披露してくれました。

よく覚えています。とても嬉しかったですよ。 誰もがブライアン・ウィルソンが完全復活したと喜びました。

しかし、まだ本物の笑顔ではないと感じました。完成されていないものがあるからです 未完成のままの「スマイル」です。

ブライアン・ウィルソンは37年も待たせて……

突然に朗報が舞い込んできました。

ついにブライアン・ウィルソンが本当の笑顔を取り戻そうと動き出したのです。

そう、未完成のままの「スマイル」です。

「スマイル」を完成させるだって!?

音楽雑誌を読んで声を上げたのをよく覚えています。

目を疑いました。何度も記事を読み返しました。

感激でしたよ! 気まぐれなのか、なにかを決心したのか、そのブライアン・ウィルソンの真意を探るよりも、素直に「スマイル」の完成が楽しみで心は躍るばかりでした!

私は37年も待ったわけでも、楽しみに待っていたわけではありませんが、奇跡だと思いました。

多くの人たちも同じ気持ちだったことでしょう。

もう諦めていた夢の音楽が聴けるなんて、ワンダフルだと思いませんか?

「スマイル」

2004年はブライアン・ウィルソンにとって笑顔の年です。

にっこりと笑って37年前の悪夢から目覚めてくれました。

「スマイル」は完成したのです。

 

確かに受け取りました。未完と完成の間を経て完成した「スマイル」を。

悲しかった「スマイリー・スマイル」が、なんとも明るく美しく完成して笑うしかありませんでした。

「ペット・サウンズ」と同等か、それ以上のアルバムです。

完成された「スマイル」は誰をも笑顔にしてくれます。

無機質な笑顔は生のある笑顔で完成したのです。

本当の笑顔のままで

ブライアン・ウィルソンはこれからも笑顔をくれるでしょう。

もうわかっていますから。 期待を裏切っても更に期待を裏切ってくれます。 また壊れても構いません。

本当の笑顔を知っているブライアン・ウィルソンなら、どんなになっても受け入れます。

ありがとう、ブライアン・ウィルソン

人生は短いようで長く、向こう何十年も笑えないということもありえます。

私も「スマイリー・スマイル」「スマイル」の間を彷徨うかもしれません。

その間を笑顔で埋めるのは「駄目な僕」次第だと、ブライアン・ウィルソンは笑顔で教えてくれました。 この場を借りてブライアン・ウィルソンにお礼を述べます。

そして、記事を読んでくださった方々にも感謝いたします! ありがとうございます!

ワンダフル!「ビーチ・ボーイズ」60周年!

……というわけだよ。
すごい人生だね……。いろいろ知ったらちゃんと聴きたくなってきたよ。
まだ、終わりじゃないんよ。ブライアン・ウィルソンはこれからの人だよ。2020年は来日公演予定だったけど、流行り病の影響で中止になっちゃったんだ。
ああ……、それは残念。
でもね、2022年は「ビーチ・ボーイズ」のデビュー60周年! なにか動きがあるかもだよ!

 

The Beach Boys: Feel Flows – The Sunflower & Surf's Up Sessions 1969-1971

引用: Yotube Beach Boys Offical Channel

へえ! 楽しみ! ところで一番の名曲ってなにかな?
それは「神のみぞ知る」ことだよ!

 

Brian Wilson – God Only Knows – Best Audio – The Late Show With Stephen Colbert – June 4, 2020

引用: Brian Wilson – God Only Knows – Best Audio – The Late Show With Stephen Colbert – June 4, 2020

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